虹の架け橋

tamisan

2012年01月17日 09:22

 

  数年前母が亡くなった後、初めて母方の家系図を見ました。
 母の実家に伝わるものを、従兄弟が持ってきてくれたのです。
 法事の最中だったので、外にコピーをとりに行くことができず、急いで書き写しました。

 後でそれを見ながら、家にあった古い家族写真と照らし合わせて、
 これが曾お祖父さん、曾曾お祖母さん、とわかるようになりました。

 父も母も亡くなり、二枚の家系図を見ていると、自分の生命というものが、
 連綿とたくさんの人の生命を繋げてここにあるのだということが、よく解ってきます。
 (そしてこれからいつか私の名前もここに書かれ、生没年が( )の中に記され、
 自分が遠いご先祖様になっていくのだということも・・・・。)


 けれど、たとえ名前や写真が残っていても、残念ながら会ったこともないご先祖様は、
 私にとって単なる記号のようなものでしかありません。
 その人が何を想い、どんな感性を持って生きていたのか、
 いったいどんな人間だったのか、全く想像することすらできないのです。
 私は、その人たちが何を大切にし、どんな憧れを持ち、
 どんな魂を持って生きていたのか、そんなことが知りたいのです。

 これは視点を変えれば、あと百年もしないうちに私は記号となり、
 その頃の曾孫たちには、私が何を思い何を求めて生きていたかを知る手がかりすら、
 まったく残っていないだろうということです。


 ですが、最近やっとパソコンを操れるようになったある日、ハタと気がつきました。
 そうだ、ブログだ。ブログという手があるじゃない。
 ブログに自分の思いのままを書き綴っていけばいい。
 お墓も財産も残さない私が残す、これが唯一のものと遺言することにしよう。
 そうすればいつかこの小さなチップが、世代を越え、時間を飛び越えて、
 同じDNAを共有する者たちに、私の魂を伝えることができるかもしれない・・・・。


 かくて私はブログを書き始めることにしました。
 まだ見ぬ子孫たちとの間に、虹の架け橋を架けてみようと思うのです。


                        

  To my grandchidren

 
   
   私をご先祖様とよぶあなた、
   私は時の彼方から、あなたに宛ててこの手紙を書いています。
   あなたの中にあるDNAを通して、
   私はあなたへの愛を永遠にささやき続けます。

   どんなつらい時にでも、あなたは一人ではありません。
   私がいたから、あなたは今ここにいます。
   あなたの生命の始まりから、そしてそれが終わる時まで、
   私はあなたの中にいて、あなたを見守っています。

   ところで、ここで一つ問題を出します。
   あなたのご先祖たちをさかのぼり、この無限に続く生命の鎖を、
   どこまでもどこまでも手繰っていってみて下さい。
   サルを越え、単細胞を越え、進化の過程をさらに逆走し、
   さらにさらにすべての始まりまでさかのぼったとき・・・・、

  
   最後の鎖の輪の先に、あなたは何を見出すでしょうか?


   これは我々ご先祖様からあなたへの、究極のエクササイズです。
   どうかその答えが、あなたを至福へと導くものでありますように・・・・。

                                      
                                         much love
 
from your grandmother

  
   p.s この日記を読んでいて、もしもあなたが自分の血の中に、
      私と同質のものを感じることがあるとしたならば、
      それは私にとって望外の喜びです。


                        

 
  ここまで書いていて気が付きました。
  自分の血の中に先祖を、さらにさかのぼって神を感じ取ること、
  それが祖先崇拝の根源的意味なのだと。
  宗教とは、宗(もともとのもの)に帰る教えのこと・・・、確かそうですよね?
  神の、存在への愛と意思がその始まりにあったということ、
  それを悟ったとき、私たちは永遠の至福と、安心立命を見出すのではないでしょうか。
  (アッ、答え書いちゃった。ここは後で編集しなおさねば・・・)




            父よ、母よ、限りなく続く私の過去に連なる生命たちよ、
            あなたたちに限りない感謝を捧げます。