2011年11月26日

アコークローの野外音楽会

 

 今回は、虹のこととは全然関係ないのですが、
 とても素敵なことがあったので、是非書いておきたくて筆をとりました。

 

 昨日の夕方、新都心の公園を通りかかった時、
 一人でチェロを演奏している人がいました。
 

 私はチェロの演奏を生で見るのは初めてでしたが、
 その素敵な音色に惹かれて、思わず足を止めました。
 黄昏の公園のアコークローの木の下、石のイスに腰を落ち着け、
 その演奏に耳を傾ける事にしました。
 

 公園には色々な人が通り過ぎて行きます。
 ウォーキングやジョギングをする人、犬を散歩させる人、自転車に乗った人。
 けれど、みんなそれぞれ忙しそうで、
 演奏に気をそらされることもなく、、次々と通り過ぎて行くのです。

 私はたった一人、アコークローの葉をざわめかせながら吹いてゆく秋の風と、
 芝生の上を流れるチェロの音に、静かに耳を澄ませておりました。
 私は音楽のことはよく知らないのですが、初めて身近で聴くチェロの音は、
 ヴァイオリンの高い心を震わせるような響きと違って、
 低く広く、深く豊かに、私の心を包み込んでいきました。
 
  

 それは、私一人のための野外音楽会のようでした。
 ああ、何て贅沢な時を私は過ごしているのだろう、と思いながら、
 しばし至福のときを満喫していました。


 そろそろ夜風が身にしみてきたので、
 後ろ髪引かれる思いでその場を立ち去ったのですが、
 風に乗ってチェロの音がとぎれとぎれに、かすかになりながら聞こえていました。
 
 帰り道、たまたま道を歩いていて美しい虹に出会ったときのように、
 私の心は幸せで一杯でした。

 今度は、温かいチャイをポットに入れ、
 厚手のショールを用意して出かけてみようと思います。



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Posted by tamisan at 16:22│Comments(0)番外編
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