2011年11月29日
私の中のレインボー・チェイサー① 画家・幸地学 前編
レインボー・チェイサー・・・・ 虹追い人。
英語では、どこまで行っても捕まえられない虹を追いかける人、
の意から転じて、夢ばかり追いかけて現実から遊離した地に足の着かない人、
という意味に使われるようです。
けれど私は素直に、夢を追い続ける人と解釈しています。
私の中のレインボー・チェイサーとは、南総里見八犬伝の如く、
我が敬愛してやまない宮澤賢治の魂を宿して、
戦後の日本列島各地に生まれてきた人達のことをいいます。
もちろん私だけの独断と偏愛で決めたものです。
一人目はすでに書いた「アタゴオル物語」の、ますむらひろしです。
二人目には沖縄出身の画家、幸地学のことを書いてみたいと思います。
彼のことは、1996年に米国グラミー賞公式アーティストに選ばれ、
そのポスターやチケットを手がけた画家として、ご存知の方もおられると思います。
私が彼の作品を初めて見たのは、20年くらい前、牧志の三越で開かれた彼の個展でした。
そこで、私はとても奇妙な体験をしました。
ある作品の前で、私はあやうく踊り出しそうになったのです。
絵から、音楽が聞こえてくるのです!
アフリカ音楽でもない、沖縄音楽でもない、
二つの間にあるような不思議な音とリズムが、私の身体を勝手に衝き動かすのです!
このような体験は生まれて初めてでした。
会場の人目をはばかって、私は自分の身体が動き出さないよう、
必死で我が身をかき抱いたまま、その絵の前に立ち尽くしていました。
その何年か後、彼が描いたグラミー賞のポスターの絵を見る機会がありました。
その絵は、描かれたモチーフのエッジから、不思議な光が放たれていました。
細かくさざ波のように震える、光の波動が見えるのです。
描かれてもいないものが見える?
まさかそんな、と思って目をこらしても、やっぱり見えるのです!
色々な絵をこれまで見てきましたが、こんなことは初めてです。
こんなのが意図的に描けるとは思えません。
幸地学はやっぱり天才だ!、と確信しました。
聞くところによると、人間には元来、共感覚(通常の感覚と同時に、
異なる種類の知覚を感じる特殊能力)というのが備わっているそうで、
人によっては文字に色が見えたり、音に色が着いて見えたりすることがあるそうです。
共感覚は、まだまだ解明されていない分野のようですので、
私の経験したような、色が音に聞こえるといったこともあるかもしれません。
彼の絵には、私の中に眠るそういう類の能力に働きかける力があるようです。
描いた本人はこういうことを分っているのでしょうか?
一度、訊いてみたい気がします。
Posted by tamisan at 19:22│Comments(0)
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