2011年09月10日
二つの虹
浦添の経塚(きょうづか)に、その地名の由来となった小さな丘があります。
琉球松に囲まれたその丘は、最近架け直された経塚(ちょうちか)橋のすぐ上にあり、
そこに金剛嶺(こんごうれい)と刻まれた古い石塚が建っています。
昔、このあたりは昼なおうす暗い森だったそうです。
そこには怖ろしい妖怪が住みついていて、人々を悩ませておりました。
そこで神通力を持ったお坊さんがその妖怪を退治して、
お経を書いた石を埋め、その上に金剛嶺の石を据えたのです。
こうして妖怪たちは鎮まり、めでたしめでたしとなったわけです。
これが経塚の由来ですが、ひと気のないその丘に一人で立っていると、
なんだかゾクッとしてくるのは、気のせいでしょうか?
夏のある朝、経塚橋の上を歩いていた時のことです。
経塚の丘の上に、なんと、大きな虹が二つも架かっているいるではありませんか!
ふだんよく見る虹はだいたい一つですが、その上にもう一つ虹が乗っかっているのです!
調べたところによると、これは副虹(ふくこう)というものだそうです。
私たちがよく目にしているのが主虹(しゅこう)で、
主虹は水滴が1回反射してできて、副虹は2回反射してできるのだそうです。
(そう言われてもいみくじピーマンですが・・・)
副虹は、たまに見えることがあってもうすぼんやりしているし、
部分的にしか見えないことが多いのですが、
このときの虹はハッキリクッキリ、
主虹に負けないくらいきれいに見えていたのには驚きました。
けれど、何だか何かがおかしいのです。
よく見ると、副虹の色の並び方が違うのです。
私たちがよく見る虹は,下から紫、藍、青、緑、黄,橙、赤と並んでいますが、
副虹はそれが真逆で、上から紫、藍、青、緑、黄、橙、赤になっているのです。
二重の虹に、反転する色・・・・。本当に虹って不思議ですね。
今思い出しても経塚橋の上から眺めたこの日の虹は、本当にパーフェクトな虹でした。
二本の虹が、少しの欠けもかすれもない姿で、
緑の丘の真っ青な空に色鮮やかに描かれていたのですから。
P・S 由来話をもうひとつ。
地震や雷のとき、沖縄の人は「チョーチカ、チョーチカ」とおまじないを唱えるのですが、
その言葉もこの経塚から来ているようです。
怖ろしい妖怪を封じ込めた、強力なマジカルパワーにあやかってのことなのでしょうね。
今朝、、久しぶりに塚を訪ねてみました。
塚のそばの説明書きを読んでみると、500年前の出来事だったのですね。
お坊さんの名前までちゃんと詳しく書かれてありました。
金剛嶺と刻まれた石は、あちらこちら欠けてみるからに古さびておりました。
もしかしたら塚が建てられた時からの石なのでは・・・・と考えると、
何だか妖怪退治のお話が、とても身近にリアルに迫ってきました。
どうかあの美しい虹が、塚に封じ込められた妖怪たちの心を、
少しでも慰めてくれますように・・・・。ア~、チョーチカ、チョーチカ。
Posted by tamisan at 17:19│Comments(0)
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